階段というと上階と下階をつなぐ移動手段として考えている方もいるかもしれません。けれど、階段の種類によっては輸入住宅の見せ場のひとつとなり、印象を変える重要なファクターとなります。ここでは、輸入住宅に設置する階段を考えるうえで押さえておきたい、形の種類やこだわりたい要素などについて紹介します。
海外のドラマや映画を観ていて、階段ホールの素晴らしさに目を奪われたことのある方もいるはず。たとえば輸入住宅でよく見かける弧を描くような曲線の形状をしたサーキュラー階段は、移動手段としてだけでなくインテリアとしての側面も持ち、おしゃれな雰囲気を演出してくれるのが魅力。輸入住宅において階段は空間や暮らしを演出する装置としての役割があり、見せ場のひとつとなる重要な要素です。
理想の輸入住宅を実現するには、どの階段を選ぶかも重要になってきます。輸入住宅の象徴とも言えるサーキュラー階段をはじめ、それぞれの階段の特徴や魅力について見ていきましょう。
サーキュラー階段は弧を描くような形状が特徴的な階段で、輸入住宅と言えばサーキュラー階段を思い浮かべる方も多いでしょう。ゆるやかな曲線を描くサーキュラー階段は空間に華やかで優美な印象を与え、美術館や音楽ホールなどでも採用されている階段です。吹き抜けの玄関ホールやシャンデリアなどと組み合わせれば、海外映画のワンシーンに登場するような印象深い空間を演出できます。
おしゃれなインテリアとして存在感を放つサーキュラー階段ですが、設置に広い面積を必要とするため、狭小住宅には設置できないというデメリットも。また、装飾性が重視されるので、ほかの階段に比べて費用が高額になる傾向にあります。
日本家屋で採用されることの多い階段で、上下階を一直線に結ぶシンプルな形状が特徴です。省スペースで建築費用を安く抑えられるため、狭小住宅や階段に予算をあまりかけられないという方に適しています。また、階段下に大きなデッドスペースができるので、階段下収納をつくりたいという方にもおすすめ。
一方で、直線階段は階段を踏み外したときに一気に下まで転がり落ちてしまう危険性があるため、小さいお子さんや高齢のご家族がいる場合は注意が必要です。
折れ階段は途中でL字型に折れ曲がっているタイプで、向きが変わる部分に踊り場または斜め角度の階段を設置するのが特徴です。直線階段よりも設置スペースを広く確保する必要があるほか、建築費用も高くなるデメリットがあります。
一方で踊り場を設置することで、足を踏み外したときに下まで一気に落ちてしまうのを防ぐことが可能。また、設置スペースを広く確保する分、勾配も緩やかに設計できるため、足腰が弱くなって階段の上り下りがつらいという方でも移動しやすいというメリットがあります。
折り返し階段は踊り場を挟んで180度回転するように折り返すタイプで、間取り図ではU字型やコの字型に見える形状をしています。学校や商業施設などでもよく用いられている階段です。折り返し階段は直線階段に比べて段差の数が増えるため、勾配が緩やかになって比較的楽に上り下りできるのが特徴。安全性が高いので、小さなお子さんや高齢のご家族がいる家庭に適しています。
デメリットは広い設置スペースが必要になるので、建築費用が高くなってしまうことです。
らせん階段は、らせん状にくるくると回りながら上り下りするタイプの階段です。優美な曲線と存在感のあるデザインが特徴的で、おしゃれな空間を演出できるのが魅力。インテリアとしての側面も持っているため、リビングの見せ場として部屋の中央に階段を設置したい方にもおすすめです。同じく曲線を描く形状のサーキュラー階段と違い、狭いスペースにも設置できるので、狭小住宅にも適しています。
ただし、中心に近いほど踏板の面積が狭くなるため、上り下りする際は踏み外さないように注意が必要です。また、狭いスペースにも設置できる一方で、建築費用が高額になりやすいというデメリットもあります。
せっかく輸入住宅を建てるのであれば、ほかの家とは違う個性を演出したいもの。階段の形状のほかにも注目したい要素について紹介します。
手すりは手を添える笠木とそれを支える手すり子で構成されており、笠木と手すり子の素材やデザインによって空間の雰囲気が変わってくる重要な要素です。笠木部分だけを木製にして手すり子を鉄製にしたり、手すり全体を鉄製にしたりすることも可能。手すり子のデザインをインテリアに合わせてオーダーメイドすれば、個性をより演出できるでしょう。
輸入住宅のモデルハウスや施工実績の写真などを参考にしながら、どんな手すりにしたいのかイメージを固めていくことをおすすめします。
階段のステップ(踏板)の種類には、箱型とオープン型の2種類があります。
箱型は古くから日本の建築様式に取り入れられており、箱を積み重ねたように段が配置されているのが特徴です。費用を比較的安く抑えられますが、箱型を確保するために階段下がデッドスペースになるというデメリットも。そのため、階段下のデッドスペースを収納やトイレなどに活用するといった工夫が求められます。
オープン型は踏板同士が連結しておらず、踏板と踏板の間に空間が開いているのが特徴。光や風が隙間から通るので圧迫感がなく、開放的な空間を演出できるのが魅力です。ただし、隙間から小さなお子さんやペットが落下する危険性があるため、オープン型にする場合は落下防止ネットを設置するなどの対策が必要です。
階段の素材でよく使用されるのは、木材や金属、ガラス、石の4つです。木材ひとつとってもオークやビーチ、メープルなどさまざまな樹種があり、どれを選ぶか、どんな仕上げにするかで印象が変わってきます。どの素材を選ぶかで建築費用も異なるので、ハウスメーカーや工務店とも相談しながら検討しましょう。
夜間でも安全に階段を上り下りできるようにするためにも、階段には照明を設置するのがおすすめです。手すりや踏板の裏側にLEDを設置したり、光熱費の節約のために人感センサーを設置したりなどと工夫することで、家づくりがもっと楽しくなってくるでしょう。
階段の幅や高さは建築基準法で規定されていますが、あくまでも最低限の基準のため、上り下りしやすい寸法に調整する必要があります。上り下りのしやすさは暮らしの快適さや安全性にもかかわってくるので、慎重に検討しましょう。
輸入住宅では階段が見せ場の1つとなるため、理想のマイホームを実現するのであれば、階段選びにもこだわるようにしましょう。階段の形状や素材などによって空間の印象が大きく変わってくるので、どんな階段にすればイメージしている輸入住宅に近づけるかを考えながら選ぶと良いでしょう。
ハウスメーカーや工務店によって得意とするデザインも異なるので、理想の階段のデザインに近い写真などを持参して相談してみることをおすすめします。