家を建てるときに気にしておきたいもののひとつがシロアリ対策です。シロアリ対策が大切な理由や輸入住宅を建てる前にできるシロアリ対策についてまとめています。
シロアリ対策を怠ってしまうと、住まいや人にさまざまな被害が出てしまいます。シロアリによる食害で柱やつなぎ目などがボロボロになってしまうと、耐震性が下がってしまいます。その状態で大きな地震が起きると、建物が崩壊してしまう恐れもあるのです。
そもそもシロアリ対策は、建築基準法で必要であると定められているものです。具体的には「木造建築の地面から1メートル以内の部分(柱、筋交い・土台など)には必要に応じて防蟻処理を行うこと」と明記されています。新しく家を建てる際には、基準を満たしていなければなりません。輸入住宅の場合も同様に、シロアリ対策を行うことが義務付けられているのです。
住宅を建てた後にできるシロアリ対策もありますが、新築時にしかできない対策もあります。構造材や断熱材に防蟻処理を行ったり、床パネル下面の防蟻シートを貼ったりすることは、新築時にしかできません。シロアリの被害から大切な住まいを守るには、家を建てる際に対策しておくことが大切です。
輸入住宅を建てる前にできるシロアリ対策を紹介します。ここでは、防蟻処理の方法を3つ詳しく解説します。
表面塗布処理法とは、住宅の木材の表面に、薬剤を塗ってシロアリを防ぐ方法です。この方法は新築時にしか施工できません。表面塗布処理法はシロアリ対策としては手軽にできるため、多くの施工会社で採用されています。ただし、万が一木材が割れてしまった場合は、木の割れ目からシロアリが浸入する可能性もあります。
加圧注入処理法(湿式)は、木材に薬剤を減圧・加圧することで内部に注入させる方法です。内部にまで薬剤を浸透させるため、万が一木材が割れてしまっても、シロアリ被害を防ぐことができます。この効果は半永久的に続くともいわれており、新築時にしかできない方法です。
ただし、ネックなのはコストです。木材の価格が上がるため、予算をオーバーしてしまう可能性があります。
住宅で使用される木材の多くは、加圧注入処理法(乾式)が行われています。木材に薬剤を注入する前に木材を濡らす処理が行われており、湿式よりも防蟻に高い効果が期待できるといわれています。薬剤は毒性が低いものや、少量でも十分な効果が期待できるものもあります。
家を建てるときにしかできない対策を紹介しましたが、建てた後にできるシロアリ対策もあります。ここからは、建築後にできるシロアリ対策を紹介します。
ヤマトシロアリの対策・駆除に行われるのが、薬剤散布法です。シロアリ被害を未然に防ぐ場合は、床下に薬剤を散布します。すでにシロアリによる被害が発生している場合は、被害部位に薬剤を散布します。被害が大きい場合は、木材に穴をあけて薬剤を注入することもありますが、全体的にたっぷり散布するのがポイントです。市販の薬剤も売られていますが、被害が大きい場合や、難しそうだと感じた場合には、プロに相談することを検討しましょう。
イエシロアリの対策・駆除にはベイト法が用いられます。ベイト法とは、薬剤と木材を容器に入れて埋めておき、イエシロアリが食べるのを待って駆除する方法です。イエシロアリは活動範囲が広いため、薬剤散布法では効果が期待できません。そのため、シロアリに薬剤を食べさせて、時間をかけて駆除します。ベイト法では、シロアリの習性を活かして、巣ごと駆除することが可能です。
薫蒸法は、建物全体をシートで覆い、ガスを充満させてシロアリを駆除する方法です。アメリカカンザイシロアリの駆除に行われます。薫蒸法を行うには、ガスの有毒性などが問題になります。そのため、住宅が密集している場所などでは、行うことができません。処理にも2~3日間かかるため、その間家で生活することができません。また、コストも高いため、あまり現実的ではない方法です。
シロアリ対策は住宅の建築時にしっかり対策をしておくことが大切であることが分かります。せっかく輸入住宅を建てるのであれば、シロアリ被害は避けたいものです。できる対策はいくつもあるので、安心して長く暮らせる住まいづくりのために施工会社と相談しながら検討しましょう。建築後にできる対策も踏まえたうえで、相談しておくと安心です。